Bang & Olufsen カートは空です : Cart is empty

Vol. 4 寒川裕人 / 現代美術家 スタジオ編

空気をつくる人The Sound of Ambience

東京都現代美術館の展覧会史上最年少での個展となった「EUGENE STUDIO 新しい海 After the rainbow」(2021〜22年)なども記憶に新しい、現代美術家の寒川裕人(ユージーン・スタジオ)さん。東京近郊にある倉庫を改装したアトリエ「EUGENE STUDIO / Eugene Kangawa Studio/Atelier iii」では、Bang & Olufsenのスピーカーやヘッドホンが日々活躍しています。

Studio image

都心から約1時間、自然光が差し込む元倉庫の巨大空間をアトリエに

大学在学中の2014年にロンドンのサーペンタイン・ギャラリーのプロジェクト「89+」へ参加したあたりから頭角を現し、2017年には銀座・資生堂ギャラリーで個展「THE EUGENE Studio 1/2 Century later.」を開催。2019年には国立新美術館で完全な暗闇の中での能のインスタレーション「漆黒能」を行い、2021年にはアメリカで発表した短編映画が多数の国際映画祭の公式作品となるなど、幅広い活動で注目を集める寒川さん。都心から約1時間の場所にある「Atelier iii」は、700㎡以上もある元倉庫。プロダクションルームや暗室、保管庫などとともに、巨大な作品がさながら美術館のように展示された空間が広がっており、訪れた人を圧倒します。

「ここでは朝の10時くらいから制作を始めています。天窓から自然光が一番綺麗に入る時間ですね。音楽は常にかけていますが、制作スタッフと一緒にいる時にはヘッドホンで聴くこともあります」。そう話す寒川さんが愛用しているのが「Beoplay H95」。5段階のノイズキャンセリングが可能なので、集中して作業したい時にもぴったりです。

Art piece

さまざまな実験を並行して行うことができる、美術館サイズの恵まれた環境

作品の制作にあたっては 「作品を他者として捉える」 という寒川さん。チームを組むのは人だけでなく、太陽光に作品を曝すことでインクの退色を促しグラデーションを生み出した作品《Light and shadow inside me /邦題:私は存在するだけで光と影がある》(2021) (※写真中央の金色の油彩画 《Everything Shines series (Sketch/Drawing)》《邦題:黄色い花畑のドローイング》(2021)の両脇に飾られている、緑色のストライプの平面作品)のように、自然とともに作ることも。「コンセプトや素材に関して、“これは面白いかもしれない”と思ったら、並行して膨大なテストを行うことが多い」そうで、それが可能なスタジオの環境には非常に満足しているといいます。「ここで制作すると、美術館に持って行った時にもスケールが同じなので、身体的なギャップを感じず、リラックスしてのぞめるのも良いところです。たとえば配置を調整するときは、僕とスタッフの1,2名と少ない人数で行うので、スピーカーを持っていき、音楽をかけることもあります。実は、床に並べてあるタイルの大部分は、東京都現代美術館での個展の際にここから持っていき、また持って帰ってきたものです」。

仕事中は常に音楽と一緒。大規模プロジェクトの際にはプレイリストも併せて制作

A9
A5 in office space

「ここまで音響がいいと、今まで数百回以上聴いてきたような曲でも全く別の音に聴こえたりする。このスピーカーはまさにそういう音を響かせてくれます。」。曲を聴くのはほぼストリーミングサービスだそうで、「大きな個展やプロジェクトの際には、そのためのプレイリストも作ります。行く国によってもリストを作ったり。いくつかプレイリストが作ってあるので、それをかけていることが多いですね。」と教えてくれました。

A5

子供の頃にヴァイオリンを習っていたことと、お父様が音楽好きで、実家の大きなスピーカーからジャズやクラシックが大きな音で流れていたことなどの影響もあり、音楽が必要不可欠なものとなったという寒川さんによれば、「音楽はいろんな意味で大きな役割があるものだし、力をくれるもの」。スタジオの大空間では主に「Beosound A9」で、また打ち合わせスペースなどでは気軽に持ち運べる「Beosound A5」で音楽を流しているといいます。

“ストリーミングサービスで出会った新しい音楽もプレイリストに追加。一日の中で、多くの起伏を作りたい”

寒川裕人

Person wearing headphones

普段は「朝はヨハン・ヨハンソンやSZA。お昼くらいからマック・ミラーやNCTなどの少しポップな曲が。コロナ以降K-POPをよく聴くのですが、特にNCTはお気に入りですね。夕方以降は、以前マックス・リヒターのドキュメンタリー映画のパンフレットにエッセイを寄せたことがあるのですが、その映画で出てくる静かな曲などで頭の回転を落ち着かせたりしています。」。R&Bシンガーのアレックス・アイズレーなど、ストリーミングサービスで偶然見つけたアーティストを愛聴するようになることも多いそうです。

これほど音楽に浸っている寒川さんですが、「音楽が好きだからこそ、偏らないようにしたいと思っています。音楽をされている友人も多いので、良く音の話になります。」とも。とはいえ、スタジオと同じような環境を美術館などの中に作ることには興味津々の様子。寒川さんが今後、作品においてどのように音楽と関わっていくのかにも注目です。

Portrait

寒川裕人

1989年アメリカ生まれ。2021年から22年にかけて東京都現代美術館で開催された「EUGENE STUDIO 新しい海 After the rainbow」は、同館における過去最年少での個展となった。2021年に発表した2つの短編映画は複数の国際映画祭で高い評価を得ている。人工知能やモビリティ、農業、バイオテクノロジー領域などの研究開発への参加も。

寒川裕人さんのプレイリスト: Spotify に接続する

CREDITs: Photos: MAKOTO NAKAGAWA(CUBISM) Realization: KUMIKO SATO Text: SHIYO YAMASHITA

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