空気をつくる人The Sound of Ambience
Vol.1
武田清明 / 建築家
東京都下の石神井公園にある池のひとつである石神井池の畔に建つ、ヴォールトスラブが印象的なコンクリートの家。 2021年に竣工したこの「鶴岡邸」の1階部分には、この家を設計した武田清明さんの建築設計事務所が入居しています。 武蔵野の自然を体感できる公園に向かって開いた空間には、常に音楽が。新作ポータブルWiFiスピーカー「Beosound A5」も、早速屋内外で活躍しています。
緑豊かな石神井公園に面した絶好のロケーションで、自然を感じながら働く
石神井公園に隣接する場所に建つ「鶴岡邸」は、もともとは施主の鶴岡氏が1階に、また2階に別世帯が入る住宅として計画されたもの。もともとここにあったレストランや、この建物の後ろに建つ集合住宅を設計したのが武田さんのお父様で、その両方のオーナーでもあった鶴岡氏の「今度は若い人に」との要望を受け、武田さんが設計を手がけることになったという経緯があります。その後、鶴岡氏は当面の間東京を離れることに。そこで、武田さんが 1階に入居することとなったのだそうです。 石神井池とはさほど広くない道を挟んで境界壁などがなく向き合うこの建物は、ヴォールト（カマボコ形状の屋根）が特徴。前面ガラス張りのため、室内から外を眺めると、公園の緑や池とダイレクトに対峙することとなります。自然に包まれているような不思議な安心感を味わえる空間は、毎日武田さんが選んだ音楽で満たされているそう。アナログレコードを聴くこともありますが、メインはやはりサブスクリプションサービス。武田さんの好きなヒップホップを中心に、さまざまな音楽がジャンルレスに流れています。
毎日の仕事始めにはみんなで庭仕事。鳥の囀りとピアノの音色をBGMに
この建物はオーナーの「鳥が集まる、猫が昼寝に来る家にしたい」という要望を受け、前庭にはもちろん、2階の外周部や屋上にも緑が溢れています。武田さんをはじめ、スタッフは毎朝9時に出勤し、まずは総出で植栽の手入れや掃除などを30分ほど行うのだそうです。その後、短いミーティングを行った後は、施主の方と打ち合わせをしたり、テキストや図面を書いたり、提案を考えたり。「基本的に仕事時間にシーンとしているのは苦手なので、音楽はずっとかけています。午前中はクラシックのピアノ曲など静かなものを、午後からはトーンを変えてアクティブでビートの効いた音楽を。朝は最近だと坂本龍一さんの曲ばかり聴いていますね」と武田さん。「窓を全開にして、朝の光と鳥の囀りの中で音楽を聴くと、本当に気持ちがいいんです」と話してくれました。
緑豊かな石神井公園に面した絶好のロケーションで、自然を感じながら働く
元来ヒップホップが好きだという武田さんですが、ラップが入った曲だと集中できないので、仕事中のBGMはインストのDJミックスなど。夜になってスタッフが帰った後には、一人でのんびり音楽に浸ることもあるといいます。夜は公園の周りをランニングしている人が散見されるものの、基本的にはとても静かなのだそう。ここには開放感たっぷりのバスルームもあるため、「Beosound A5」を持ち込み、時にはゆったり湯船に浸かりながら音楽を聴くことも。直接水がかからなければ少々の蒸気などの中に置いても大丈夫なので安心です。
“ここでは子どもたちの声や雨音など、心地よい雑音が曲の印象を日々変えてくれる。都会では得られない喜びです” 武田清明
どこに身を置いても自然との距離の近さを感じさせるこの建物ですが、一番は何といっても屋上です。もともとの植栽に加え、鳥が運んでくる植物も繁茂する緑いっぱいの屋上では、スタッフとのバーベキューなどもしばしば行っているそう。気候のいい季節にはコーヒーやお茶を飲んだり、仕事終わりにお喋りをしながらみんなでビールを酌み交わしたりすることもあるそうです。 「風を感じながら、公園で遊ぶ子どもたちの声を背景に音楽を聴いていると、なんだか幸せな気分になります。同じ曲を聴いていても、その日の天候とか周りの音によって、全く違う印象を受けるのが面白いんですよね。『Beosound A5』は気軽に持ち歩けるし、低音がパワフルで、外で聴いていても、音を絞っても、くっきりと聴こえるのですごくいい。既に大活躍しています」と話す武田さんは、ここに拠点を移したことで「日本橋のオフィス街に事務所を構えていた頃には全く気づかなかったことに気づくようになりました」とも。自然を感じる空間で聴くと、音楽はもっと楽しい。そんなシンプルな喜びを思い出させる、理想の仕事場がここにありました。
武田清明
1982年神奈川県生まれ。2007年イーストロンドン大学大学院修了、2008年より隈研吾建築都市設計事務所に勤務。同事務所設計室長を経て2019年に武田清明建築設計事務所設立。2018年に鹿島賞（SD REVIEW 2018）、2020年にグッドデザイン賞、2022年住宅建築賞受賞、日本建築学会作品選集新人賞と、受賞歴多数。住宅や共同住宅、福祉施設などを幅広く手がけるほか、石を使ったプロダクトなども手がけている https://www.kiyoakitakeda.com 。
Photos: MAKOTO NAKAGAWA（CUBISM） Realization: KUMIKO SATO Text: SHIYO YAMASHITA
Beosound A5
武田清明さんのプレイリスト
武田さんがプレイリストにしてくれた。朝、窓を開けて外の音も楽しみながらの５曲、日中、音楽の楽しさの中で働くための５曲、夜、仲間やお酒とともに聞く５曲をそれぞれセレクト。上質な音楽に包まれる空間を手軽に作ることのできる「Beosound A5」ならではのプレイリスト。ぜひ楽しんでみては。
朝: 窓をあけて外の音も半分感じながら Image Autumn Womb / Goldmund 20211201 / Ryuichi Sakamoto 0330 / Fennesz × Sakamoto haru / Fennesz × Sakamoto Turncoat / Goldmund
日中: 音楽のたのしさの中で働く Tibetan Dance / Ryuichi Sakamoto Happyend / Ryuichi Sakamoto Thousand Knives / Ryuichi Sakamoto +33 / Ryuichi Sakamoto a life / Taeko Onuki × Ryuichi Sakamoto
夜: 仲間とともに・お酒とともに A Little Soul / Pete Rock Got 'Til It's Gone / Janet Jackson The Light / Common What Do You Say / Common Can't Breathe / 9th Wonder
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