VOL. 7 蓮沼執太 / 音楽家
The Sound of Ambience
多面的な活動を続ける音楽家、蓮沼執太さん。2023年には多彩なゲスト・コラボレーターやエンジニアとともに、「純粋に自分のための音楽」として15年ぶりのインストゥルメンタル作品『unpeople』を発表しました。同年、自身がコンダクトするフィルハーモニック・ポップ・オーケストラ、蓮沼執太フィルから「人が奏でる音すべてを等しく扱うように」こだわった『symphil』も発表しています。さらにアーティストとしても国内外で活動を続け、個展やインスタレーション、パフォーマンスの公開を続けています。そんな蓮沼さんの耳に新しい音を届けるのが、オーバーイヤーヘッドホン「Beoplay H100」です。
音の環境にあわせてヘッドホンを楽しむ
蓮沼さんの日々は音とともにあります。日常的にはイヤホンを、飛行機や新幹線を使った長時間の移動や旅行ではヘッドホンを使って音楽を楽しむといいます。「長時間の移動では耳への負担も少なく、没入感のあるヘッドホンを使います。集中して音楽を聴くのに適しているので」と蓮沼さん。仕事、プライベートな時間を問わず、眠るときを除いてほとんどの時間が音楽とともにあるとか。演歌を除いてすべてのジャンルの音楽を聴くという蓮沼さんは、ヘッドホンも実に多種多様なメーカーや機種を扱います。「各社、個性が出ますね。作っている音楽にもよるし、聞く曲で変えることもあります。映画を見るときに使うヘッドホンなど、用途にあわせて変えている方だと思います」という蓮沼さんは状況に応じてメーカーや機種を変えるそう。では「Beoplay H100」は、どんな音を蓮沼さんに奏でているのでしょうか。
自然な音という個性と奥行きをもって奏でる
蓮沼さんがまず感じたのは「とても自然な音」。「着色がされていない音といえばいいのかな。けれど少し個性的。たとえば僕は音楽のジャンルにあわせて、これと決めているヘッドホンがあります。僕自身が音楽の作り手なので、制作者が本来奏でたであろうオリジナルの音を想定することができます。『Beoplay H100』は、高音、中音、低音域のバランスなどがすべて素直に耳へと入ってくるし、ノリを上げるために低い部分と高い部分を操作して高揚感を出すような着色をしていません。あくまで作った人の音楽を自然に届けてくれます。結果としてそれが、他にない個性にもなっています」。さらに蓮沼さんは空間的な奥行きを感じるとも。『Beoplay H100』は空間オーディオにも対応していますが、これを使わずとも独特の奥行きをしっかり感じることができると言います。
独自の世界観をもつ音はまるで魔法のよう
蓮沼さんがバング&オルフセンと出会ったのは高校生のころ。デザインに惹かれ、当時ヴィンテージとなっていたCDプレイヤーを手に入れます。「いい音という概念も難しいのですが、やはりそれぞれにどう感じるかということが大切で、デザインが好きで手に入れたステレオがあったとするなら、そこから聞こえる音はやはりいい音なのだと思います」と言います。今回手にした『Beoplay H100』は、プロが使用する機材のような雰囲気があると蓮沼さん。「どの音楽にも合うオールラウンダー。けれど同時にどの音楽もバング&オルフセンの世界観をもつ音になる。僕が高校生の頃にスピーカーで聞いてたのと同じで、クラシックミュージックもR&Bも、バング&オルフセンの世界観で聞こえてきます。これは技術的な要素というよりも、そういう魔法みたいなものがかかるからだと思います。その意味でオールラウンダーと表現しました。音はもちろん上質なんだけど、それだけじゃない魔法を持ったメーカーであり、その世界観を表現するプロダクトだなと」。現在は新作に取り組んでおり、「制作途中の音源を聴いて、足りない要素に気づかせてくれたこともあります。音の情報量が多くても聞き取りやすく、フィールドレコーディングにも持ち出したい」と言葉をつなぎます。発見を促す存在として、『Beoplay H100』はこれからも蓮沼さんの日々に寄り添っていきます。
蓮沼執太
音楽家/アーティスト 1983年東京都生まれ。蓮沼執太フィルを組織して国内外でのコンサート公演をはじめ、映画、演劇、ダンス、CM 楽曲、音楽プロデュースなど、多数の音楽を制作。「作曲」という手法を応用した物質的な表現を用い、展覧会やプロジェクトを行う。第69回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。主な個展に「Compositions」(ニューヨーク・Pioneer Works)、「 ~ ing」(東京・資生堂ギャラリー)など。主なグループ展に2021年「FACES」(東京・SCAI PIRAMIDE)。現在、21_21 DESIGN SIGHTで開催中の企画展「ゴミうんち展」に作品を展示するとともに企画協力をしている。また、11/30(土)には渋谷WWWにて「S C P」と題したソロのワンマンライブを予定している。
蓮沼執太さんのプレイリスト
Spotifyで聴くCREDITs:
Text: Yusuke Kajitani
Bang & Olufsenコミュニティのメンバーになりませんか。
新製品や限定製品、会員様限定イベント、特別セールなどの情報をいち早くお届けいたします。