Vol. 6 大野友資(Domino Architects) / 建築家 空気をつくる人
The Sound of Ambience
長野・浅間山の裾野に建てた小さな住宅「御代田の住居」と、東京・青葉台のヴィンテージマンションに構えた設計事務所。それぞれの拠点を移り気に行き来するのは、建築から遊具の設計まで幅広く手掛ける「DOMINO ARCHITECTS」の代表、大野友資さん。心地よい風が通り抜けるような清々しい2つの仕事場には、ときに仕事に集中するため、ときに仕事を忘れるため、音楽がたおやかに流れています。その傍らにあるのは「BEOSOUND A5」。空間に馴染むデザインと音色が、今日も大野さんの日常へ溶け込んでいます。
観察と実践を繰り返すための、もう一つの家
日本有数の避暑地、長野県の軽井沢町の隣町。御代田町の山裾に立ち並ぶのは、大野さんが仲間と構想段階から関わっている「御代田の住居群」。大きな広場を囲んで5つの住居が建ち、大野さんの週末住宅もその一角にあります。 このプロジェクトは、旧知の4組の家族と広大な森を拓くところから始まり、水がどう流れるのか、陽はどのように差すのか、またどのような植物が生えているのかと野宿までして観察を重ねながら、設計を進めたといいます。 気分で場所を変える大野さんは、その時々によって聴く音楽も変える。
「僕はその時々で興味が色んな方向に向いてしまう性格なので、そのタイミングによって違う観察対象と出会える環境が色々あるといいなと思って」
御代田の家で「BEOSOUND A5」から流れるのは、かつて働いたポルトガルの地で耳にした音楽。朗らかな太陽の日差しを感じるしとやかなギターの音に、ゆったりと歌われるメロディーがエモーショナルな気分にさせてくれるそうです。
作業によって切り替わるBGMで、ムードを高める
主に設計業務を行うのは、東京・青葉台に構えた設計事務所。壁に整然と並んだ建築模型や素材サンプルの数々は見ているだけで胸が躍ります。この事務所ではアンビエントをはじめとして、その日によって色々なジャンルの音楽が常に流れているそうですが、気分を盛り上げたい時などには意図して流すジャンルがあるそうです。「ゲームが好きなので、3DCGで設計を作り込んでいく時は、ゲームのサウンドトラックを聴くことが多いですね。インディーズから大作まで雑食にプレイするのですが、とことんやり込むスタイルなので世界観がBGMごと身体に染み込んでいるんです。映画のサウンドトラックとはまた違って、長時間聞いていたりループ再生しても飽きないように作られていることが多いので、ちょうどいいんです。無駄にテンションが上がってしまうこともあるんですけど」。 〈Undertale〉や〈Cyberpunk2077〉、〈Death Stranding〉、さらには〈塊魂〉と幅広い作品のサウンドトラックを聴きながら、設計の世界に没頭するという大野さん。ゲーム内のランドスケープや建設物の構造に目を見張る観察眼は、もちろん身近なプロダクトにまで及んでいます。
『BEOSOUND A5』は、持ちたくなるハンドルの形状もかわいいし、スピーカーのハウジングがペーパーファイバーで覆われて隠されているのがいいですね。どこから音が出ているのかが分からないのが面白いし、置き場所も選びやすい。御代田と事務所、どちらの環境でもすっと馴染んでくれるのが意外でした」
空間と音の関係を見つめ直すきっかけとしても
大野さんは御代田の家と事務所のマンションという異なる環境で使ってみて気づいたこともあると続けます。 「事務所では自分の席に座っていることが多いのでスピーカーとの距離は一定ですが、御代田にいる場合は僕が庭先に出てみたり、料理をしたりと動き回って離れることも多い。それでも音楽がしっかりと鳴ってくれているというか、色々な場所にいても“よく聞こえるな”と思うのは無指向性のスピーカーだからでしょうね。 あと、音の出る方向をアプリから調整できることも画期的だと感じました。音楽はどのように聴こえてくるかによって印象も変わるもの。このスピーカーを正方形の空間に置いた時と、アーチ状の空間に置いた時、さらに壁や床の材質が違えば、それぞれの空間で音楽から受ける印象は変わります。そう考えると、例えば、『BEOSOUND A5』を空間に合わせて置くのではなくて、逆に『BEOSOUND A5』に合わせて空間を考えるとどういうものになるんだろうとか……プロダクトの思想がとても空間的なので、興味は尽きません」。 持ち運べて様々な環境で聴き比べられると、音楽の味わい方もより一層深くなる。流す音楽を変え、場所を変え、と試しながら好みの聴こえ方を見つけることも、楽しみの一つかもしれません。
大野友資
DOMINO ARCHITECTS代表/FICCIONES所属/一級建築士 1983年ドイツ生まれ。東京大学工学部建築学科卒業、東京大学大学院修士課程修了。カヒーリョ・ダ・グラサ・アルキテットス(リスボン)、ノイズ(東京/台北)を経て2016年独立。2011年より東京藝術大学非常勤講師、2023年より東京理科大学非常勤講師を兼任。デザインの実践と理論の両面から歴史や文脈への接続を試み、情報と物質、デジタルとアナログ、ハイテクとローテクを相対化するような設計を手がける。その活動はさまざまなチームとの協働によって形作られ、建築、インテリア、プロダクトデザイン、リサーチや執筆、教育まで多岐にわたる。https://dominoarchitects.com
大野友資さんのプレイリスト
静かに耳を傾けたくなる曲もあれば、背景になって鼓舞してくれる曲もある。大野さんが選んでくれたプレイリストは一見散開しているように見えても、ひとつの流れとして聞くと発見があります。起き抜けの朝から慌ただしい日中を経て、賑やかな夕食で一日を終える。そんな景色も浮かぶような18曲が、「Beosound A5」のサウンドによってより一層豊かなイメージを与えてくれます。
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